さが林業アカデミーが就職時の強みに
40代で事務職から林業就業者へ。林業をやろうと思ったきっかけはなんでしたか。
もともとは農業をやりたいと思っていて、九州の中から自分に合うところに行けたら良いなと考えていました。そんなときに、たまたま知り合いに佐賀県で林業のセミナーがあることを教えてもらったんです。行った日に「林業をやろう！」と思いました。
キャンプが好きで山道を通るときに山が崩れているのを見ると気になっていたんです。セミナーで林業と災害の関係を知って、少しでも関われる仕事ならやってみたいな、と。
デスクワーク中心の事務職よりも、かなりの体力仕事ですが不安はありませんでしたか。
それが不思議となかったんですよね。始めればなんとかなるかなと思っていたし、もしダメだったらその時にまた考えたらいいやって。
さが林業アカデミーの一期生でもあります。カリキュラムや雰囲気はいかがでしたか。
同期は私と同じ転職組も多かったから、お互いにがんばろうという空気感がありました。
STEP3の林業講習会で、チェーンソーで木を伐り倒す実技があるのですが、お互いに動画を撮ってアドバイスし合うこともあって心強かったですね。
講習会の講師は簡単そうに、さっさっさって木を伐るんです。自分もできるだろうと思ってやってみたら全然できない。そこからこれを仕事にするんだって実感がわいてきました。
アカデミー修了後は、まつら森林組合に所属されています。就職先の決め手はなんでしたか。
アカデミーの修了直前に、県内の認定事業体が集まって合同説明会のように各ブースで話を聞ける就業マッチング相談会がありました。
まつら森林組合は、女性を採用したらキャンピングカーを買って着替えやトイレに不自由しないようにしたいと、女性を現場でどのようにアシストするかを具体的かつ前向きに、そして本音を交えて話してくれたんです。
さが林業アカデミーを受講してライセンスを取得していたから、就職の時に強みになりました。未経験で、年齢も重ねていたから、何もせずに「採用してほしい」と言っても断られていた可能性がありました。受講するメリットはとても大きいと思います。
一歩踏み出したらそこから歯車が回り始める
実際に林業就業者として働き始めていかがですか。
思っていたよりとても丁寧に教えてくれる印象です。安全に気をつけないといけないこともあって、まずは先輩が作業している様子をしっかり見て、自分で伐るようになっても途中途中で細かく教えてもらえます。
朝は早いですけど、夕方になったら必ず仕事が終わるのが嬉しいですね。前職の頃は、夜遅くまで残業していたけれど、今は仕事が終わってもまだ外が明るい！なんて最高なんだ！って思います。
以前は外食やレトルトが多かったけど今は食事の質と体のコンディションが直結するから自炊をするようになりました。オンとオフがはっきりすると一日がとても長く感じるし、いろんなことができるなと思っています。
転職と同時に佐賀県への移住も経験されました。佐賀での暮らしはいかがですか。
移住サポートセンターに紹介してもらった、海に近い家に住んでいます。夏場は仕事から帰ってきたら海辺でビールを飲んでいました（笑）
休みの日は家事をして、余裕があったらドライブに行きます。この前は、気になっていた窯元まで車を走らせました。近いうちに焼き物づくり体験もしたいですね。
これから林業の仕事でやってみたいことを教えてください。
重機に乗ってみたいですね。それから、組合の人が、植栽の苗の運搬にドローンを取り入れたいと言っているからドローンの資格も取りたいです。やれることがあったらなんでもやりたいなと思っています。
美山さんが林業の世界に思い切って飛び込めたのはどうしてなんでしょうか。
そうですね… 私、ずっとペーパードライバーだったんですよ。免許は持っていたけど事故を起こすのが怖くてずっと運転を避けて生活していました。でも、アカデミーに入ったら山に行かないといけないから、車を買って20年ぶりに運転してみたら意外にもちゃんと運転できた。その感覚と似ているかもしれないですね。
林業に興味を持っている方、挑戦したいと思っている方に一言お願いします。
やはり覚悟とお金は必要です。でも、一歩踏み出したらそこから歯車が回り始めると思います。
佐賀にはさが林業アカデミーがあるし、移住の窓口もある。県の人も親身に話を聞いてくれる。いろんな人から助けの手をいっぱい差し伸べてもらっているなと実感しています。
