TO BE FOREST WORKER

奈良﨑 圭則さん

フォレストワーカーへのインタビュー

数百年単位の森のサイクルをこつこつと回す

伊万里西松浦森林組合奈良﨑 圭則さん
林業歴 12年(2011年〜)
所属する森林組合で初めて育児休暇を取得した奈良﨑さん。子育てとお仕事の両立やチームワークが大切である林業でどのようにリーダーを務めているかなどを伺いました。

ほがらかな空気の中で仲間と働く

10代の頃から林業をされているんですよね。就業のきっかけはなんでしたか?

高校は林業科に通っていて、祖父が仕事の合間に山の仕事をやっていたこともあって林業はもともと身近でした。高校卒業後、最初は別の仕事をしていたのですがそこを辞めた後に林業やってみようかなと。
最初は業務課で事務や測量をしていましたが、体を動かしたいという思いがあって現場に異動しました。

現場歴も10年を超えて、今では後輩の指導や班のリーダーもされています。林業ならではの人の育て方はありますか。

現場を見て、計画書と照らし合わせて、一人で判断して作業を進められるようになるまでだいたい5年ぐらいでしょうか。
機械の使い方や基本的な作業は、緑の雇用でも学ぶし、現場でもマンツーマンで教えます。ただ、現場によって山の状態や求められる作業がかなり違うんですよね。そこは経験を積んでいくしかありません。
教えるときに心がけているのは、コミュニケーションをしっかりとること。人によって成長のスピードや経験は違うから、どこまでできるかを確認しながらなるべく見て覚えてもらうようにしています。それから、休憩時間にはみんなで集まってわいわい話しています。内容は、仕事に関係のないことばかり。そういう時間がほがらかな空気を作っていくんだなと先輩たちから学んだので、僕もそうしたいなと。チームワークは大切にしています。

休憩中の一コマ。何気ない雑談の時間がチームワークをつくる。
休憩中の一コマ。何気ない雑談の時間がチームワークをつくる。

一人で作業する時間が長い印象がありますが、チームワークが大切なんですね。

スムーズに作業を進めるにはどうしたらいいか、班のメンバーの意見を聞きながらみんなで考えていきます。結構、頭を使う仕事でもあるんです。日が暮れたら作業ができないから計画通りに進めていくためにメリハリをつけて作業することは意識していますね。危険な作業も多いので、信頼関係は一番大事です。

この日行っていた作業は、間伐を行うための道づくり。重機を操作して山を切り開いていく。
この日行っていた作業は、間伐を行うための道づくり。重機を操作して山を切り開いていく。

育児休暇取得で子育てとの両立を実現

家庭では二児の父親。一昨年と今年にそれぞれ2ヶ月の育児休暇を取得されたそうですね。

生まれてすぐの頃の子育ては大変だと聞いていたし、妻も働いているからちゃんと分担したかったんです。休暇中は育児休業給付金が支給されたので、休むことに無理がなく、子育てにしっかりと携われたのが良かったです。
復職後も特別休暇が支給されるから、子どもが急に体調をくずした時に病院へ連れて行きやすくて助かりました。
毎日18時ごろに帰宅できるから、家事や子育ては奥さんと協力してやっています。帰ったら、子どもたちにごはんを食べさせて、自分と奥さんもごはんを食べて、お風呂が沸くまで子どもと遊んで、子どもと一緒にお風呂に入って、上がったらまたちょっと遊んで、寝かしつけながら一緒に寝ます。
朝は、早い時間に起きて仕事に行って、とても健康的な生活を送っています。疲れて帰ることもあるけれど、子どもと遊ぶ時間はかけがえのない日々の楽しみです。

奈良﨑さんが感じる林業の魅力を教えてください

一日ごとに目に見える形で作業が進んでいる達成感を味わえること。林業の仕事は、数十年、数百年単位の森のサイクルのなかにあります。いま作業している山を見ていると、ずいぶん前に間伐されたのがわかりますし、僕がこれまでに作業してきた山もいずれは誰かがその後を引き継いで作業していくはず。
自分たちが伐り出した木が、家や家具に使われて、人の生活の役に立っているとやって良かったなと思います。

間伐することでうっそうとした森に光が入るようになる。
間伐することでうっそうとした森に光が入るようになる。
MESSAGE

林業に興味を持っている方、挑戦したいと思っている方に一言お願いします。

最近は機械化も進んで、いわゆる「3K」というほどの過酷な仕事ではなくなってきたと思います。人によって合う/合わないが顕著な仕事なので、与えられた情報だけで考えるのではなく、一度山に来てから考えてみるのがいいかなと。佐賀県は林業アカデミーもありますし、体験会を開いている事業体もあります。興味がある方はぜひ参加してみてください。

奈良﨑 圭則さん